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損害賠償責任と過失割合

A) 損害賠償責任とは

 

◇質問者  金沢さん◇
「 自動車を運転していて脇見していたら、信号待ちしている車に追突してしまいました。
こういう場合、私にどういう責任が出てくるのでしょうか?」
◇回答者  石川さん◇
「 あなた(加害者)は相手(被害者)に対して、損害を賠償する義務を負います。これを損害賠償責任といいます。相手の身体や車に損害を与えた場合は、加害者はそのケガの治療費や、車の修理代を金銭で評価して支払わなければいけません。
これを法律で民事上の“不法行為責任”といいます。」

自動車保険や自賠責保険は民事上の責任を果たすためのものです

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B) 過失割合とは

◇質問者  能登さん◇
「 車同士の事故で自分と相手方の過失割合を 30対70 と言われましたが、これはどういうことですか?」
◇回答者  石川さん◇
「 事故の起きた原因が双方にある場合、運転の落ち度を数字で表す責任負担を、過失割合といいます。
損害賠償のすべてを加害者に負担させるのは、損害の公平な分担の考え方から妥当ではありません。
このため、加害者は、損害額から被害者の過失相当額を控除して被害者に賠償することになりますが、これを過失相殺といいます。人身事故、物損事故のいずれの場合にも適用されます。」

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自動車 対 自動車

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信号のない交差点で、A車・B車とも同じくらいのスピード、B車の側には一時停止の標識があったとします。
両者とも前方不注意事故がおこり、A車の過失割合40%・B車の過失割合60%とします。

A車はB車に100万円の40%、40万円を支払う
B車はA車に200万円の60%、120万円を支払う
結果、差し引きするとB車がA車に80万円支払うことになります。

過失割合の修正要素例
自動車 対 自動車
自動車に過失が加算される材料 ● 安全不確認
●速度超過
●方向指示器無表示
●夜間照明無
●無意味な急ブレーキ停車 など
自動車に過失が減算される材料 ●優先道路 など

過失割合の判定基準

◇質問者  能登さん◇

「 最初 30対70 の過失割合が、話し合いの末 40対60 に変わり、責任が少し増えました。どうして数字が動いたのですか?」

◇回答者  石川さん◇

「 過失割合の判定は、事故の形態により加算されたり減算されたりします。比較的多い事故のケースにおいては、過去の判例を元に一定の基準が設けられています。

その基準は事故の形態によって 歩行者と自動車、自動車同士、バイクと自動車、という具合に分かれます。事故が起きた時間、晴れか雨、路面は乾いていたのか濡れていたのか、被害者の年齢なども考慮し、基本割合に数パーセントの修正を加えて最終的な過失割合が決定します。」

ただし あなたの事故と判例に照らしている事故の形態が必ず一致するとはいえません
必ず保険会社の担当者に詳しく過失割合の根拠を聞いてください
それにより数字が変わることが多々あります

 

歩行者 対 自動車

 

歩行者が横断禁止の道路を横切り、通行してきた自動車と事故に遭い、歩行者に100万円の損害が発生したとします。歩行者の過失割合が20%とすると、自動車の過失割合80%であれば、歩行者の損害は自賠責から限度内で (傷害120万円)全額支払われます。(自賠責保険は特別法のため)

また自動車の損害が30万円だとすると、歩行者の過失割合20%で6万円が被害者から加害者に払われます。

過失割合の修正要素例
歩行者 対 自動車
歩行者に過失が加算される材料 ●夜間
●幹線道路
●直前直後横断
● ふらふら歩き
●横断禁止の規制あり など
歩行者に過失が減算される材料 ● 歩道、車道の区別なし
● 住宅、商店街
●児童、高齢者
● 幼児、身体障害者 など

自動車 対 バイク

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例えば、信号機のある交差点で自動車が青矢印で右折しようとしたところ、前方から赤信号でバイクが直進してきました。過失の加算・減算はなしとして、自動車の過失割合0%、バイクの過失割合100%とします。


自動車はバイクに50万円の0%、0万円支払う
バイクは自動車に50万円の100%、50万円支払う
結果、バイクが自動車に50万円支払う賠償になります。


過去に多数起きた事故例と過失割合の考え方

歩行者 対 自動車
ケース①
信号機のある横断歩道の横(横断歩道外)を横断中の歩行者 対 横断歩道進入後の車
歩行者 歩行者過失割合
青で横断開始 赤で進入
赤で横断開始 赤で進入 25
赤で横断開始 黄で進入 50
赤で横断開始 青で進入 70
ケース②
歩道が工事中などで、歩行者の車道通行が許される場合
状況 歩行者過失割合
車道を諸事情で通行中 10

●加算要素: 夜間 幹線道路 ふらふら歩き
●減算要素: 住宅 商店街 児童 幼児 高齢者 集団通行 etc..

✽歩道が工事中などで通行できない場合、歩行者の車道通行が認められます。
このとき、通行してよいのは道路端から約1m以内です。
歩行者には安全確認を行う注意義務があります。
減算要素の集団通行には、典型として小学生の集団登下校があります。

ケース③
後退車による事故 (車道横断の歩行者 対 後退車)
状況 歩行者過失割合
直後横断 20
直後横断以外

※ この場合の「直後」とは、車のすぐ後ろという意味です。

●加算要素: 夜間 歩車道の区別のある道路 後退警告
●減算要素: 住宅 商店街 児童 幼児 高齢者 身体障害者等
自動車の著しい過失 自動車の重過失

以上より +10%~-20%位の過失修正の場合があります。

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自動車 対 自動車
ケース①
信号機がある同じ道幅の交差点で、直進車A 対 直進車Bの場合

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状況 A B
青信号車A / 赤信号車B 100
黄信号車A / 赤信号車B 20 80
赤信号車同士 50 50

●Aに加算: Aに何かの過失が有るとき、または、Bの明らかな先入
Aが赤信号直前に進入 衝突時Bの信号が青 Aの著しい過失など
●Aに減算: Bの著しい過失 Bの重過失

以上より -10%~+20%位の過失修正の場合があります。

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ケース②
信号機のある同じ道幅の交差点で、直進車A 対 右折車Bの場合

状況 A B
A青で進入 / B青で進入 20 80
A黄で進入 / B黄で進入 40 60
A赤で進入 / B赤で進入 50 50
A赤で進入 / B黄で進入、赤で右折 70 30
A赤で進入 / B青で進入、赤で右折 90 10
A赤で進入 / B青矢印で右折 100

●Aに加算: Aの15㎞以上の速度超過、Aの30㎞以上の速度超過
Bの既右折と見られる場合、Aの法50条違反の交差点進入
Aのその他の著しい過失など
●Aに減算: Bの徐行なし Bの直近右折 Bの早回り右折
Bの大回り右折 Bの合図なし Bが大型車
Bの著しい過失など

以上より -20%~+20%位の過失修正の場合があります。

・ 交差点中心の直近の内側を通らない右折を「早回り右折」
・ 直進車の至近距離での右折を「直近右折」
・ 右折車が右折を完了している、またはそれに近い状態を「既右折」
※   先方車両が交差点出口で詰まっている場合
次車両は交差点に進入してはいけません。
これは道路交通法50条違反「交差点等への進入禁止」になります。

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ケース③
同じ方向に走っている直進車Aと進路変更車Bの場合

状況 A B
後続直進車Aと進路変更車B 30 70

●Aに加算: Aの15㎞以上の速度超過
Aの30㎞以上の速度超過
●Aに減算: 進路変更禁止場所
Bの合図無し Aの初心者マーク

以上より、-20%~+20%位の過失修正の場合があります。

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バイク 対 自動車
ケース①
同じ道幅で信号機が無く、見通しが悪い交差点にて
直進バイク 対 直進車の場合   ( 自動車からみるとバイクが左からでてくる場合 )

( 左方優先の原則 )

状況 自動車 バイク
自動車 減速なし / バイク 減速あり 65 35
自動車・バイク 同速で進入 50 50
自動車 減速あり / バイク 減速なし 40 60

●バイクに加算: 見通しのきく交差点 夜間 バイクの著しい過失
●バイクに減算: 自動車の著しい過失

以上より、-20%~+20%位の過失修正の場合があります。

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ケース②
渋滞中の信号の無い交差点をすり抜ける
バイク 対 交差点右折または横断の自動車
状況 自動車 バイク
渋滞中の交差点の通り抜け 70 30

●バイクに加算: バイクの著しい前方不注意 バイクの著しい重過失
●バイクに減算: 交差点ではない場合

以上より、-10%~+20%位の過失修正の場合があります。

渋滞中により相手が見えづらい状況です。
「バイクの著しい前方不注意」とは、相手自動車が頭をゆっくりと出していたり、一旦停止をしていても衝突してしまった場合の時です。
「バイクの重過失」とは、バイクがスピードを落とさずに交差点を抜けていこうとした場合の時です。

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ケース③
道路外出入車と道路直進車の事故の場合

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状況 自動車 バイク
道路外車が バイク 30 70
道路外車が 自動車 90 10

道路外車がバイクの場合
●バイクに加算: バイクの徐行なし 幹線道路 バイクの著しい過失
●バイクに減算: 衝突形態が追突事故の場合
自動車の15~30㎞以上速度超過

道路外車が自動車の場合
●バイクに加算: バイクの15~30㎞以上の速度超過 バイクの著しい過失
●バイクに減算: 自動車の徐行なし 幹線道路 自動車の著しい過失

以上より、-10%~+20%位の過失修正の場合があります。

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