先号の 今年はじめに
金融庁が出した
損害保険ジャパン株式会社の
業務改善命令の続編
簡易調査の導入と杜撰な運用
 損保ジャパンにおいては
2016年度からの中期経営計画
においてコスト削減施策を
講じており
全国の保険金サービス部門の
損害調査に従事する要員削減し
コストが低いアソシエイト職の
社員に当該業務を
シフトしていく施策を
実行している。
こうした中、BM社への
保険金支払に係る損害調査業務を
集中的に担っている
東京保険金サービス部における
コンプライアンスに対する
意識レベルの低さや
不正リスクに対する感応度の
欠如もあり 損害調査において
技術アジャスター以外の社員が
主軸となる「簡易調査」の導入後
以下のとおり社内の適正なルール
を大きく逸脱した極めて問題の
ある運用を行っており
同部の内部統制が崩壊していると
評価せざるを得ない実態が
認められた。
同部は BM社の簡易調査について
本来 技術アジャスターの関与が
必要な損害調査プロセスにおいて
社内ルールを無視して独断で
当該技術アジャスターの関与を
なくし 専門資格を有しない
アソシエイト職の社員が全ての
損害調査プロセスで確認を行うと
いった運用に変更している。
また 同部は社内ルールでは
簡易調査を導入できない業務品質の
不芳なBM社の工場に対しても
こうした手法による調査を
導入・継続させている。
さらに 簡易調査の導入は
損保ジャパンの標準修理見積と
BM社が作成した修理見積の差異を
検証し、乖離率が一定以下で
あることを条件としており
簡易調査導入後も
定期的な乖離率の検証を通じて
モニタリングを行い一定程度乖離が
続けば簡易調査の中止を検討する
こととしているが
同部はこうした社内ルールを
無視して独断でチェック項目に
基づき簡易に判断するといった
不正が検知しづらい手法に
変更している。
また こうした第1線の各保険金
サービス部の問題を把握・是正させる
役割を担っている
保険金サービス企画部は
こうした東京保険金サービス部の
実態を全く把握しておらず
社内ルールの運用状況やその実効性
適切性等を定期的に把握・評価する
仕組みを整備していないなど
機能不全に陥っている
実態が認められた。

 入庫再開に関する経営判断
社長を含む経営陣等は BM社への
入庫再開の決定等についてBM社に
おいては不正請求が行われている
蓋然性が高いとの認識を有しながら
顧客保護やコンプライアンスを
軽視し自社の営業成績・利益を
優先させ 十分な事実関係を
追及せず 曖昧な事実認識の下
十分な議論を行わないまま
入庫再開を拙速に決定している。
社長がこうした不適切な
経営判断を行った原因として
社長就任から間もない中
社長の評価基準であるボトムライン
(利益)が大きく落ち込む見込みと
なっていた状況下で保険料収入を
確保したいとの意識や
他の損害保険会社にBM社という
大口取引先を奪われてしまうことを
危惧し焦燥感を抱いたこと
親会社である
SOMPOホールディ
ングスからの
強いプレッシャーを
感じていた
ことなどが挙げられる。
また、当時の社長以外の役員や
部長等は、入庫再開を決定した
役員協議において
真偽が不明な情報を含む他社動向を
大半の時間をかけて説明し
BM社において利益至上主義や
過度に厳格な人事制度を
運用している点など
組織的不正の発生につながり得る
同社の企業文化を認識しながら
説明を怠っている。
その上で
こうした役員協議の状況下で
判断した社長の入庫再開方針に
対して、リスクを過小評価した
ことなどから、
社長の決定に反対意見を述べること
なく当該決定を受け入れている。
さらに、役員協議への出席者として
法務・コンプライアンス部
担当役員
等が出席しておらず 
透明性及び客観性が
確保されて
いない非公式の
役員協議で
重要な業務執行に関する
意思決定を行っているなど
これらの意思決定のプロセスを
鑑みると
損保ジャパンの経営管理
(ガバナンス)は、機能不全の実態
にあると認められる。
以下割愛

詳しくはこちら  金融庁ホ-ムペ-ジへ
https://www.fsa.go.jp/news/r5/hoken/20240125/20240125.html


交通事故研究所いしかわの筆者は

鈑金塗装業務を生業にしています。
長い歳月 損害保険会社と業務上
お客様の保険修理に関して
修理費や
損害額について
交渉してきました。
われわれの業界でこのような
悪質かつ卑劣なことが起きたこと
には大変な驚きと疑念が残りました。
その訳は我々修理事業者側見積りを
減額なしで損保がうけとることが
ほとんどないからです。
もっといえば
正当な根拠のある見積りでも
とにかく減額するのが
保険会社側の重要な仕事なのです。
このビッグモ-タ-事件において
保険会社の使命感や
保険会社の理念である公正・公平が
大きく欠如しており
全国の自動車オ-ナ-と修理業界
への大きな裏切り行為といえます。
例えば欧米のように
保険商品販売と保険修理業務は
兼ねれないという 区分けを
金融庁において
金融システムの見直しを
強く感じました。
この事件後も
大手損保はカルテルを結び
保険料の調整で公正取引委員会に
注意勧告を受けていますが
相変わらず 利益至上主義の構造
のようで何も改善されてません。
自動車保険はこの10年程で
事故が減り続けているので
自賠責保険は自家用乗用車で
2年間の保険料が
約10年前の 27,000円から
現在は 17,650円と
1万円近く安くなりましたが
任意自動車保険は
年々高く上がり続けています。
本来ならば上がり続ける理由を
自動車ユ-ザ-に説明が必要ですが
その意識があるようには
まったく感じません。
このままでは保険不審に
なりかねません。