救急医療の現場で使われる言葉で
災害や事故などが発生した際、
重症度に基づいて
治療の優先順位を決定し
搬送 治療にあたることです。
大規模な事故や災害が発生した場合では
医療資源をはるかに超える負傷者が
緊急を要するため
特定の基準に従い優先順位を決める
ことを”トリアージ”といいます。
語源は「選別」を意味する
フランス語の
「triage」からです。
日本以外に世界中でも
同じ意味で使われています。
今回の新型コロナウィルスのような場合
に軽症者から重症者まで多くの人が
集中して病院を訪れる場合や
阪神淡路大震災や東日本大震災の
ような大災害の場合に
「助けられる命を確実に救う」
ために優先順位をつけるものです。
言い換えると
『10人の負傷者がいる中で
助かるか分からない負傷者1人に
時間をかけるより 助かる見込みの
高い負傷者9人に対応して
1人でも多くの命を救いたい』
という趣旨です。
○トリアージの判断基準は?
1.総傷病者数
2.医療側の許容量
3.搬送能力
4.現場での応急処置
5.治療に要するまでの時間
などで判定されます。
具体的にどういうことで選別されるのか
というと、医師や救急救命士などが判断
して色分けした専用のラベルを患者の体
に貼り付けるものです。
一度に多くの苦しんでいる患者を前に
判断するのは「人間」です。
主観で判断するより客観的に
判断することが出来る手法が
「START法」というものです。
○「START法」とは?
1.歩行できるか
2.呼吸しているか、また呼吸数
はどうか
3.循環状態はどうか(脈拍)
4.意識レベルはどうか
などにより負傷者を4色のカードで
表わす方法です。
判定により負傷者の右手首に
「トリアージタッグ」という
タグを取付ます。
原則は右手首関節部ですが、その部位
が負傷して付けれない時は反対の左手首
や、右足・左足・首とわかりやすい場所
に変えます。
色別に症状を見てみると
○緑色(待機)
具合が悪かったり、負傷
があったりした場合でも
すぐの処置や搬送の必要が
ないもの
○黄色 (準緊急)
呼吸・循環(脈拍)に問題
なく意識も異常がないが自力
で歩行することが出来ない場合
今現在、生命に関わる重篤な状
態ではないが処置が必要。
○赤色(緊急)
助かる見込みのある中で最も
治療が優先される重篤な状態
です。一刻を争う早い処置を
しなければいけません。
○黒色(死亡)
呼吸がなければ気道確保をし
それでも呼吸がなければ死亡
もしくは直ちに処置をしても
明らかに救命が不可能なもの
です。
以上のように 患者の状態を色分けに
より優先順位を分かりやすく
することで多くの医師や
医療機関の技術と時間を無駄なく処置に
集中してもらうということです。
交通事故の現場でも
このトリアージは使われてきました。
記憶に新しいところでは
2019年5月滋賀県大津市で信号待ちの
園児の列に車が突っ込んだ事故や
2005年4月に起こった
JR福知山線脱線事故においても
このトリアージが行われたとの記録が
残っています。