スエズ運河は1869年に開通し
全長193㎞  全幅約300m
地中海と紅海を結ぶ運河で
アジアとヨーロッパを
最短距離で繋いでいます。
エジプトの運河庁が
運河の管理をしており
1回の通行料は1隻につき
日本円で平均3000万円と
高額ですが 海上貿易量が最も多い
ルートの1つで 世界の貿易の12%が
ここを経由しているそうです。
代替えルートでアフリカ南端を経由する
と更に1週間かかると言われています。

 

スエズ2

 

 

 

 

そんななかで今年3月に起きた
大型コンテナ船がスエズ運河で
座礁した事故は大変注目を集めました。
事故の原因については
エジプトのスエズ運河庁が
調査を行いました。
この大型コンテナ船「エバーギブン号」
全長400m 重量約22万t 幅59m
愛媛県今治市の会社が所有し
台湾の海運会社が運航しています。
管理はシンガポールの世界大手の
会社だそうです。
エバーギブン号は台湾で積んだコンテナ
をスエズ運河経由で約1万8520㎞の
距離をかけてオランダのロッテルダムに
向けての航海の途中でした。
事故当日は強風が吹いていて
砂嵐による視界不良が
原因とされていました。
スエズ3
ただ 事故当日は大型船が事故前に
30隻以上運河を通過していることから
「悪天候が主な原因ではない」と
スエズ運河庁は否定しています。
技術的問題や機械の故障 人的ミスなど
複合要因の可能性を指摘していました。

 

3月23日に事故が発生し
6日後の
29日未明に離礁しました。
その後 解りやすく例えると
スエズ運河庁側の債権で
エバ-ギブン号の *留置権として
運河の途中の湖に 強制停泊させて
損害賠償協議に入りました。

 

スエズ運河

 

 

 

 

現地報道によると、スエズ運河庁は
水路の閉鎖や救助活動などの損害は
極めて大きいとして
当初は9億1600万ドル
( 日本円で996億円 )を見積って
いたところその後6億ドル
( 日本円で652億円 )に
減額して請求しました。
一方 コンテナ船契約保険会社側
は1億5000万ドル
( 日本円で141億円 )を
提示したとの報道がありました。
結局、スエズ運河庁は最終妥協額を
604億円に引き下げたと
会見しています。
賠償額を1隻の通行料で割ると
約2000隻分の通行額がでるので
それだけのコストと同等と
運河庁は判断したとも言えます。
その後 保険支払い額が成立し
留置権が解けてエバーギブン号は
地中海へと進み オランダへ
向かう航海の続きにつきました。

 

1年間に日本の海運会社がスエズ運河
に支払う通行料の総額は400億円に
のぼると言われています。
海運会社によれば、大型コンテナ船が
通れるスエズ運河は毎年値上げを事前
アナウンス無しで敢行してくるので
困っているという話です。

 

 

 

*留置権は、他人の物の占有者が
その物に関して生じた債権の弁済を
受けるまでその物を留置する権利をいいます。
具体例として 自動車工場が自動車を
整備したときは留置権に基づいて
整備代金の支払いを受けるまで自動車を留置
その支払いを間接的に強制することができます。