山林をぬける道路をドライブしていたら
突然、沿道の木が倒れてきて
車を直撃し 大破してしまいました。
この事故は、平成26年6月
当日は無風で晴天。
場所は富山県南砺市(なんとし)の
幹線道路で起きました。
事故に遭った車は、昭和42~45年に
かけて生産された「トヨタ2000GT」
今ではプレミアが付く幻の名車を
オ-ナ-は3500万円で購入しました。
約50年前の価格は約240万円。
クラウン2台分 カロ-ラ6台分に
相当する高級車でした。
3年間で生産されたのは
たった337台と言われています。
現在では国内に約100台が
存在しているとのこと。
2014年の海外オ-クションでは
日本車史上最高の
約1億2千万円で落札された
との記録も残っています
事故後オーナーが 修理をメ-カ-に
打診したところ ”2億円はかかります”
と言われて断念。
その後弁護士に調査を依頼して
どこに責任があるのかを調査しました。
国家賠償法第2条第1項では
「道路 河川 その他の公の営造物の
設置又は管理に瑕疵があるために
他人に損害を生じたときは
国または公共団体はこれを
賠償する責に任ずる」とあります。
この事故において、道路脇の樹木が
突然倒れてきたことに「管理の瑕疵」
があったのかが争われました。
調査の中で 富山県が実施した
パトロールは、走る車の中から
目視による点検によるもので
本件事故現場のすぐ近くで
3週間前にも倒木事例があり
それを富山県が把握していたとのこと。
他の自治体では道路沿道の
土地の所有者に倒れそうな木の伐採を
ホームページ等で呼びかけていたが
富山県はそれをも行っていなかった。
など
道路管理者側の問題意識の
欠如が明らかになりました。
また、別の森林資源学者によれば
「台風など強風時に大木が折れて
建物を損壊した例や線路沿いの倒木が
鉄道を不通にした例などが
テレビで報道されている。
報道に気がつけば大木が道路に倒れると
重大な事故につながることは
専門家でなくとも推測できる」
と指摘しています。
今回の倒木の予見の可能性ついては
「 樹皮表面に剥がれや穴があれば
根元が腐っており、倒木の可能性がある
とわかる 」とも言われています。
今回のようにほぼ無風時に折れる程
強度が低下していたのなら
「 目視や樹皮に触れていれば
異常がわかったのでは 」と。
最終的にオーナーは道路管理者側に対し
車両費用と治療費で3900万円の
損害賠償請求を裁判所に提訴しました。
双方 長期の折衝の末
裁判所は和解を打診して
平成30年3月原告被告双方の思惑が
合致して和解が成立しました。
それでは視点を変えて
もしも あなたの自宅にある大きな木が
突然倒れてしまったらどうしますか?
その木が隣家の塀や車を傷つけてしまっ
たらどうしますか?
自然災害による倒木であっても
管理を怠ったことが明確であれば
賠償責任が発生する可能性は
否定できません。
ただし責任が発生しても
自然災害が原因であれば賠償金額が
減額されることもあります。
民法では
「台風などの自然災害による倒木被害
に賠償責任はない」となっています。
しかし倒木は近隣トラブルに
なることも多く瑕疵がなかったか
どうかを追及される恐れもあります。
普段から管理をしている証拠が
万が一の時に役立ちます。
このような備えには
樹木のメンテナンスを定期的に行い
画像や専門の検査修了証を確保して
おくことが危険への予測対策に
つながり
結果自身のリスクの排除になります。