日本の法律は
被害者が加害者に対して
制裁を加える復讐などの
自力救済は禁止で
被害者に代わって
国家機関が加害者の責任を追及して
最終的に刑罰という形で
処罰することになります。
捜査は 警察と検察になります。
いいかえると
国家が国の治安や秩序の維持に
反した者に刑罰を課すのが
「刑事」です。
刑罰を科すには原則として
刑事裁判を起こすことが必要です。
そして刑事裁判を起こすことが
できるのは検察官のみとされています。
従って、刑事事件には国を代表とする
検察官VS
犯罪を疑われている 被疑者
起訴されたら 被告人
という構図になります。
傷害罪、過失傷害罪など
他人に怪我をさせた
または人の物を故意に壊す器物損壊罪
お金や財産をだまし取った詐欺罪や
横領罪などが当たります。
どのようなトラブルや被害でも
報復行為や自力救済は
一切認められません。
また国家権力による裁定や処罰も
認めてはいけません。
一方の民事においては
人どうしのトラブルの解決の目的として
「権利の保護」「被害の回復」を
図るのが「民事」です。
「私的自治の原則」により
公序良俗に反しない限り
当事者間で自由に合意や和解を
することができます。
故意または過失により
他人に損害を与えた場合のみ
責任を負うことになります。
例えば
お金を貸したのに返してもらえない
代金を支払ったのに商品が届かないなど
契約上の債務不履行があります。
また 怪我をさせられて
かかった治療費や逸失利益
物を壊されての修理費や評価損など
交通事故による損害賠償があります。
では交通事故において
民事事件と刑事事件の違いをみてみると
民事事件は
加害者が支払うべき賠償金が
いくらであるかを決める手続きであり
刑事事件は
加害者の刑の重さを決める手続きです。
民事では
証拠に基づいて
どの程度の損害賠償請求が
できるかを検討します。
被害者の病傷や後遺症の有無などを
考慮してまた被害者に落ち度があったか
どうか(過失割合)が問題になります。
進め方は加害者側(保険会社)と
任意で交渉したり
調停や訴訟等の法的手続きも
利用することができます。
刑事は
事故の原因(加害者の過失の悪質さ)や
被害者の被害の程度や
被害感情の大小を考慮した上で
裁判所が刑の重さを決めます。
交通事故の場合の刑事罰
交通事故の刑事罰について
もう少し掘り下げると
交通違反の時より少し複雑です。
事故と違反が重なった時や
故意か過失でも変わります。
被害者がいる事故でも
その被害者の被害(怪我)が軽いと
刑事上の責任を問われない
ケースがほとんどです。
しかし 反対にそれが故意の信号無視や
スピード違反の場合で
なおかつ被害者の被害が大きい場合は
刑事罰が課されるケースがあります。
刑事罰の多くは「懲役か罰金」となり
もし事故や違反が起きた場合は
どちらかが課されるでしょう。
罪が重いからと
懲役と罰金も両方課されることはなく
どちらかが課せられるということです。
裁判により個別の事情が考慮されて
その判断によりどちらか
1つが課されます。
万が一に交通事故で当事者になり
刑事処分に相当しそうだ
いやどうなんだ? という時は
交通事故に詳しい弁護士を
探して相談することをおすすめします。
重大な事故により
民事事件と刑事事件が
同時に別々の手続きにより
進行したとして
民事裁判では
刑事事件の裁判資料が
賠償額を決める証拠として
利用されることもあります。
逆に、刑事事件で
民事事件で賠償されたかどうか
(任意保険に加入してたか否か)が
刑罰を決めるのに考察されるので
2つの裁判は 全く関係がない
とはいえないのです。