例えば、あなたが駐車場の
オーナーとして
その駐車場に数週間~数か月に
渡り  車両を放置され
駐車場としての機能が果たせない
場合を想像してください。
どこの誰の車両なのか?
勝手に了承もなく
連絡もなく 放置されっぱなし。
公道の駐車違反は
警察の取り締まりの対象ですが
私有地となれば
民事不介入のため対象外です。
ただし  当該車両が盗難車や
または車庫飛ばしを疑うこと
もできるので
警察には念のため伝えた方が
もしかすると
早期解決も考えられます。

東警察署

ただし
警察が何もしてくれないからと
違法な駐車だからといって
実カ行使により
放置車両の所有者に無断で
レッカー移動をしてしまったら
それは逆に
あなたが刑事上の罪に問われ
兼ねないことを知っていますか?
もしもそうなった場合は
自力救済行為をした
駐車場のオーナー側が
元の状態に戻す義務(原状回復)
や相手方の被った損害
(例えばレッカー中に起きた
キズやヘコミなど)を賠償する
義務を負うことになり
安易な自力救済行為は
慎まなければいけません。

 

自力救済禁止の原則とは
自己の権利を侵害された権利者が
法律の手続きによらず
実カ行使をもって権利を
取り戻すことを
「自力救済」(じりききゅうさい)
といいます。
日本をはじめ 近代国家では
自力救済は原則として禁止です。
ただし民法に自力救済の禁止を
定めた直接の規定はありません。
自力救済により
紛争の解決を認めれば
力の強い者や実カ行使できる者
のみが権利を行使する
社会になります。
そして、自力救済を容認すると
第三者による慎重な判断なく
行為が行われるため
真実に反して権利行使がされる
恐れが大きくなります。
私人の権利の実現は司法手続き
を通して行う必要があり、
自力救済は不法行為となる
可能性があります。
では、上記の様なケースでは
オーナー側はどう対処すべき
でしょうか
①まずは貼り紙で警告すること
から始めます。

無断駐車違反

 

 

 

違法駐車のフロントガラスなど
目立つ所に警告文を貼ります。
警察や料金の文字を記載しても
問題無いと思われます。
貼り紙を車両に貼る注意点として
後々車両を傷つけないように
しなければ逆に原状回復を
請求される場合もあり得ます。
日付がわかるように
画像や写真で記録します。
また放置場所が特定できるように
撮影してください。
②無断駐車が常習的に
行われている資料が出来次第
弁護士を通じて管轄の運輸支局に対し
車両所有者住所と氏名を割り出します。
この方法を「23条照会」といい
弁護士法第23条の2という法律
により認められている調査方法です。
③違法駐車する側は
「どうせ誰かもわからないし
警察も動かない」
という悪質な考えで行っている
ことが想像できます。
車両所有者の身元がわかれば
弁護士から警告文を送ることが
可能です。
④それでも相手が何の反応も
示さない時や所在不明の場合は
裁判所に ※「公示送達」
を提起して勝訴判決を得てから
強制執行により撤去するという
流れになります。
以上 文章ではおおまかな流れで
簡単に思いますが
実際の実務は数か月から
半年くらいは普通にかかると思われ
駐車場側の身体的・精神的・金銭的
影響は大変なものになると
想像できます。

 

 

※公示送達とは
起訴関係書類の送達方法の1つで
当事者の住居所の不明な場合や
送達不可などの場合に
その書類を一定期間
裁判所の掲示板に掲載して公示すれば
本人に送達したと同一の効力が
生じます。