保険金不払い事件または不払い問題とは
数多くの保険会社が起こした
保険金を支払わなければならない
事案や事故に対して
正当な理由なく 不当な不払いを
行っていたことから保険業界全体の
著しい 不正が明らかになり
社会問題にまで発展しました。
2007年保険金の支払いに関する
金融庁の行政処分は
生保 損保合わせて7回 28社に
わたり是正 勧告されています。
その主な要因は
主契約に基づく保険金請求があっても
特約部分については請求がないため
支払わない という
保険会社側は
「請求があったものだけを支払えばいい」
と平然と考えていました。
それに対し金融庁は
「請求が類推される保険金については
請求がなくとも支払うべき」と
判断し 業務停止命令を告げました。
契約者との間で事前に結ばれた
特約に対し
請求がないから払わないという
呆れた話ですが
保険会社の体質を具体的に表した
事件と言えます。
自動車保険契約の中で
損害保険会社が契約者や
相手被害者(対人・対物保険契約)に
支払うべき保険金を
支払っていなかったケースが
過去にさかのぼると
数えきれない件数がありました。
保険評論家 佐藤立志氏は
損害保険業界の保険金不払いは
構造的な問題だと
本体社に保険金を請求する代理店は
損害率( 保険金請求額 )が増えると
代理店手数料率にも関わってきて
報酬が減ってしまうために
請求を上げないようなことさえ
起きていました。
不払いの概要
不払いの発端になったのは
平成17年2月富士火災海上保険は
自動車、火災、傷害保険の分野で
約4,800件(1億2000万円)の保険金の
支払い漏れと
約25万件(約4000万円)の保険料の
取り過ぎがあったことを公表しました。
損害保険協会は同年7月調査を終えた
14社の不払いの合計が13万件超
約50億円に上ることを明らかに
しました。
事態を重く見た金融庁は
保険会社各社に対し
「付随的な保険金の支払い漏れ」
に関する
過去3年分の調査報告を求めました。
その結果 業界全体の支払い漏れは
約18万件 約84億円に上ることが
判明しました。
このうちの自動車保険に関するものが
全体の86%を占めたということです。
1126件の行政処分が行われた後も
各社で新たな支払い漏れが新たに判明し
契約 支払い時に違法行為があったこと
を理由に
平成18年5月損害保険ジャパンに対し
2週間の業務停止命令を出しました。
同年6月には17,296件の追加的な
支払い漏れと第3分野で不適切な
不払いがあったとして
三井住友海上保険に対し2週間の
業務停止命令を出しました。
金融庁は全損害保険会社に対し
過去5年間の第3分野の不払いの
有無と 付随的な保険金の支払い
漏れの再調査を要請した結果
大手6社で約4,400件
約12億円にのぼることが
判明しています。
付随的な保険金の支払い漏れも
新たに見つかり 大手6社で26万件
約162億円の支払い漏れとなりました。
件数 |
金額 |
|
東京海上日動 |
63,143件 |
約46億円 |
損保ジャパン |
29,651件 |
約16億円 |
三井住友海上 |
46,819件 |
約33億円 |
あいおい損保 |
68,395件 |
約26億円 |
日本興亜火災 |
39,522件 |
約31億円 |
ニッセイ同和 |
14,628件 |
約8億円 |
合計 |
263,158件 |
約162億円 |
1998年の保険料の自由化以降
損害保険会社の競争は激化して
いきました。
特に自動車保険において各社が
特約という形で
独自の商品を販売していった結果
支払い体制の整備が追いつかない
状況になってしまったと
世間的に言っていますが
損保会社の体質をよく表している
この払い渋りは
保険業界の「利益至上主義」が
根底にあります。
万が一のために
契約者は高い保険料を払い商品に
加入するのに
利益先行の姿勢がこのような
販売の面だけでなく
出口にあたる支払いの面にまで至り
保険が保険として機能しないという
腐敗が極まった異常な状態を
作り上げてしまいました。
過去の履歴から学ばなければ
ならないことは
掛け捨ての保険料を毎年 毎月
支払っているものの
事故に遭い保険金を請求するのは
疎かになりがちです。
保険代理店や周りの知識のある人
に聞いたり 確認することが
とても大切な
契約者の権利でもあります。